ポイント7 より多くの人とのかかわりを作る

多様な人間関係の中で成長する

不登校という状態は、様々な要因により追い詰められ、学校生活から「引いた」状態になることで自分の身を守っている状態でした。小学生でも中学生でも高校生でも、誰にでも起こり得ることです。しかし、誰にでも起こりうることなのに、解決するのが難しいのは、不登校の根本的な課題が人間関係の課題であるからです。
自分を守るために人とのかかわりから「引いた」状態から、再び人の中へと戻して行こうとすることは矛盾があるように感じられるかもしれません。確かに人とのかかわりの中には傷つくこともあるし、面白くないことも起こるかもしれません。人に会うことを嫌がっているお子さんを傷つくことから守ってあげるために、「いつか時期が来るまで」と見守ってしまう気持ちもわかります。
しかしそれでも、人が成長していくためには、様々な人とのかかわりから刺激を受けるということはなくてはならないことなのです。「あんなふうになりたい」と憧れの気持ちを抱いたことから近づくための努力をしたり、「負けたくない」と思うからこそ辛いことでも頑張ろうとしたりする心の働きは、誰ともかかわらないことには生まれてきません。他人と自分を比較して恥ずかしい思いにかられたり、自分自身に怒りを感じたりすることは、気持ちの良いことではないかもしれませんが、その時に心の中に起こる「自分を認めたいけど、いまのままじゃいけない」という葛藤は、何かを成し遂げるためのエネルギー(原動力)なのです。
抵抗感がありますが、もう一度人の中に入っていくために、まず親子の関係から安定させ、信頼できる第三者を加え、さらに同世代とのつながりを作っていくという段階を踏んでいくことで可能になるということをこれまでもお伝えしてきました。これらの過程の中で、お子さんの傷ついた心身を回復させ、いままでつまずいていた課題に対して乗り越えられるだけのスキルを身につけることで、不登校を克服していく、ということが私たちのテーマです。
7つのポイントの最後の重要なポイントは、いま現在かかわることができている人間関係を大切に、それを土台として、より多くの人とのかかわりを作っていくということです。
人とのかかわりは傷つくことや辛いことばかりではありません。いまはそう思えないかも知れませんが、辛い時に話を聞いてくれたり、苦しい時に手を貸してくれたり、そしてお互いに喜びを分かち合えるのも、人との繋がりがあるからです。お子さんが再び笑顔で学校に通うときを信じて、ともにお子さんの成長を支えていきましょう。