不登校の6つのタイプ

Allight Educational Consulting 代表 平栗 将裕

不登校になった時に現れやすい症状やお子さんの言動などの特徴と、回復に導くために必要なかかわりの違いなどから、不登校のタイプは少なくとも6つのタイプに分類することができます。

お子さんの心の中に起こっていることを保護者の方が慌てずに受け止めることができれば、不登校が長引いてしまうことを未然に防ぐことや、必要なかかわりを必要な時期にしてあげることで、お子さんの変わろうとしている気持ちをさらに後押しすることができるようになります。代表的な6つのタイプについて解説していきますので、『不登校の解決のための7つのポイント』と併せてお子さんへのかかわりや、これからの回復の見通しの参考にしていただければ幸いです。

愛着不安タイプ

親から離れることや学校生活に不安や恐怖を感じやすいタイプ

子どもにみられる特徴

  • 親(母親)と離れて一人になることや、集団の中に入ることに強い不安や恐怖を感じ、行動できなくなる
  • 親(母親)の愛情を渇望しているが、それが叶えられない悲しみを抱いていたり、罪悪感からうまく表現できないでいる場合がある
  • 自分がうまくできないことで見捨てられることへの不安や、同世代の子たちの中で自信を持つことができないことから劣等感を抱いている場合がある
  • 母親がそばにいると情緒的に安定して、一緒に登校できることもあり、同級生の前で自信を持って振る舞うこともできる
  • 就学前には「登園しぶり」を経験している場合がほとんどで、小学校低学年に多いが、高学年の子にも増えてきている

親のかかわりと周囲のサポート

  • 辛いときには守ってもらえる、苦しいときには助けてもらえるという安心感(基本的信頼)が損なわれている可能性があるため、親子の距離を縮めて安心させることを優先する
  • 子どもの年齢は考慮する必要があるものの、甘えと見て独立心を育てようと引き離すと、却って不登校が長引く可能性がある
  • 心理的に安定したら、同世代の中で自信(自己有用感)が持てるように、年齢に応じたスキルを獲得させるようにサポートする
  • 思春期以降もこの状態が続くと、「情緒混乱・消極タイプ」「情緒混乱・積極タイプ」「無気力・回避タイプ」などに変化する可能性があるためできるだけ早く対応する

情緒混乱・消極タイプ

気分の落込みや身体症状が起こり登校したくてもできなくなるタイプ

子どもにみられる特徴

  • 学校に行こうとすると、頭痛や腹痛などの身体症状が起こり、登校したくてもできない状態に陥る
  • 学校を休むこと対して罪悪感が強く、不甲斐ない気持ちや、自分を責める気持ちを抱いている
  • 真面目で自分に厳しいため、少しくらいの成果では自分自身を認められなかったり、わずかなミスも許せないと思うような完璧思考の面がある
  • 勉強もスポーツも人並み以上にでき、そのことが本人の頑張りを支えてきたことでもあるので、不登校になったということを受け入れられずに苦しんでいる
  • 不登校になったきっかけや原因を話したがらない場合や、親を頼ろうとしないことがある

親のかかわりと周囲のサポート

  • 助けを求めること自体を許せないことがあるため、本人が「期待されなくなった」と受け取らないように、挫折感や絶望感を認め、いつも味方でいることを伝え、助けを求めるのを待つ
  • 親が受け入れる姿勢を見せると、これまで親に対して抱いていた不平や不満をぶつけるようになる場合があるが、制止せずに一旦全て吐き出させるようにする
  • 子どもの訴えを甘えやわがままと受け取って、親主導のかかわりを続けると家庭内暴力などの問題を引き起こしたり、「神経症性障害を伴うタイプ」へと変化する恐れがある
  • 心理的に安定してくると、将来についての不安や焦り生じてくるため、慰めるだけでなく、いろいろな選択肢があることを伝え、行動につなげていく

情緒混乱・積極タイプ

一人で問題を抱え込みがちで過剰適応と気力の低下を繰り返すタイプ 

子どもにみられる特徴

  • 人間関係のトラブルや学習上の課題を一人で抱え込みがちで、解決できなくなると投げ出したり、気力を落として立ち止まってしまう
  • もともと意欲的で意志が強く、自分の思い通りにしたいという完璧思考がある
  • 気力が上昇しているときには過剰適応ぎみに頑張りすぎるところがあるが、抱えきれなくなると急にやめてしまうなど、0か100かの極端な行動を繰り返してしまいがちである
  • プライドが高いため自分の失敗として受け止めることができず、問題を隠したり、原因を外的要因に求めがちである

親のかかわりと周囲のサポート

  • 問題を抱え込んで動けなくなっているときに、指示的な態度でかかわるなどすると心を閉ざしてコミュニケーションが取れなくなってしまうため、同じ目線に降りて、一緒に問題を解決していこうとしている姿勢を示す
  • 理想に近づこうとしても近づけないという本人の苦しみに理解を示し、信頼関係を築く
  • 一気に目標にたどり着きたいという焦りを諫めつつ、最終目標の途中のプロセスにいることを示し、励ましながら進めていく
  • うまくいかなくなった時も自暴自棄にさせないように、うまくいっていること、これから頑張る必要があることを整理して伝え、本人のスキルを高めていく

神経症性障害を伴うタイプ

情緒的混乱が激しく神経症性の症状を発症しているタイプ 

子どもにみられる特徴

  • 過大なストレスがかかったことにより、神経症性の症状が現れる
  • 代表的な症状は不潔恐怖(潔癖症)、醜形恐怖、解離性健忘(記憶障害)、摂食障害などがある
  • ストレスによってこれらの症状が一時的に起こるが、穏やかに過ごしていると症状が起こらない場合がある
  • 特徴としては、「情緒混乱・消極タイプ」「情緒混乱・積極タイプ」にほとんど一致するが、さらにストレスがかかったことによりこのタイプに移行した可能性がある

親のかかわりと周囲のサポート

  • 神経症性の症状が現れたときには、登校刺激になるようなことは一切やめ、精神的な休息が取れるように環境を整える
  • できるだけ早く思春期の症例に詳しい専門のクリニックを受診したほうが安心だが、本人に病識がない場合は、通院を勧めること自体が気持ちを傷つけることになりかねないため、無理に病院に連れて行くことは避ける
  • 子どもにいつもと違うような様子があるため親は心や身体のことを心配しているということをきちんと伝え、納得させてから病院に行くようにする
  • 主治医の指示に従って治療を進めるが、克服するためには病気を治そうとする本人の意志が必要であるため、安定してきたら、少しずつ外出や運動、学習など同世代とのギャップを広げないための取り組みも少しずつ取り入れていく必要がある

無気力・回避タイプ

ストレスに敏感で好きなことはできるが嫌なことは回避してしまうタイプ 

子どもにみられる特徴

  • ストレスに感じる場面から逃避したり、直面を回避したりする傾向がある
  • 自分の意志を示したり言語化することにためらいがあり、曖昧な言葉を使って断言を避けようとする
  • ストレスに対して過敏で、ストレスがかかると不安にかき乱されたり、身体症状が出ることがあるが、その場が過ぎると元気になってくる
  • 登校刺激をする人間は避けるが、コミュニケーションをとること自体は嫌いではない
  • ゲームをしたりネットを見たり、好きなことをして1日を過ごしているが、考えると気持ちが落ち込むので、できるだけ考えないようにして自分の心を守っているところがある

親のかかわりと周囲のサポート

  • 登校刺激をすると一時的に緊張し、放っておくと無気力化するということを繰り返すため、信頼関係を保ちながら子どもの成長を長い目で見て伴走していく必要がある
  • 嫌なことを回避してしまう原因の一つに、人間関係や学習の上でのスキルの不足があるため、ひとつひとつできることから向き合わせながらスキルを向上させていく必要がある
  • ストレスへの向き合い方や対処能力を高めていくことも必要であるため、「どちらかといえば嫌」という程度の拒絶であれば、積極的にチャレンジさせストレス耐性を高めていく
  • 子どもの気分や要望を優先し続けていくと、自分の立場を合理化して「無気力・長期化タイプ」に移行する恐れがあるため、日常の中に変化のきっかけを作る必要がある

無気力・長期化タイプ

不登校が始まってから時間が経ち無気力な状態が続いているタイプ 

子どもにみられる特徴

  • 不登校になってからある程度の期間が経ち、学校に通わなければならないという義務感がほとんどなくなりかけている
  • 自分なりの解釈で学校に行かなくても良い理由を作って、現在の生活を続けることを肯定している
  • 現在の生活や将来については、多くを望んでおらず、現在の生活がそのまま続けばそれで満足しようとしている
  • 考えると不安になることを考えないようにしている心理や、欲求を持つと葛藤が起こり苦しむため、合理化することにより自分の心を守ろうとする心理がある
  • 他のいずれかのタイプが時間の経過とともにこの状態へと移行してきたと考えられるため、動き出すと他のタイプの特徴現れてくる

親のかかわりと周囲のサポート

  • 不登校の始まりの時には、人間関係での傷つき、学習の上での挫折など苦しい経験があったことは事実だが、「辛い経験があったからこうなっても仕方がない」「今の生活をずっと続ける権利がある」というように考え方が変化してきた時には注意が必要である
  • もう取り戻すことができないという絶望感や将来に対する不安、そのような境遇になってしまったことへの怒りなどの感情に理解を示して、コミュニケーションを取り戻していく
  • 家庭内での接触がほとんど無くなったり、親子間で力関係が逆転するようになると、長期のひきこもり状態に移行する恐れがあるため、家族だけでは難しい場合は、第三者を入れて対話を続け、子どもの考えや感情を引き出していく
  • 無理のない範囲で対話や交流を続け、諦めさせないように励ましながら、子ども自身の欲求や葛藤を思い出させるようにきっかけを作っていく