不登校の学年別の対応法-中学生編-

中学生(中学1〜2年生)の不登校

特徴と留意点

他人の目が気になったり、教室の中にいると緊張したりするなどの心身の不調が起こり始めるなど、人間関係の中でのストレスに起因して不登校が始まることはよくあります。

もともと人間関係を作ることが得意ではない子ばかりではなく、周囲に自分から声をかけるような社交的な子の場合でも、心理的な安定度が徐々に落ちていくにつれて、次第に不安が強くなったり、感覚が過敏になったり、普段は気にならないようなことが気になり始めて、うまく人と付き合えなくなるというような変化が起こることもあります。

例えば、クラスの人間関係の中で、「自分は嫌われているんじゃないか」という不安が起こると、緊張して心にもないことを口走ってしまったり、そのことがさらに自分を緊張させて不自然な振る舞いになってしまったりなど、自分を上手くコントロールできなくなるようなときがあります。

気持ちがいつも焦っていて、様々なことに注意力が奪われる状態になると、いつしか「周りは自分の悪口を言っているのではないか」「今笑われたのでないか」と自分が中傷されているという空想に囚われてしまうこともあります。

友人関係、教師との関係、成績の低下、親子関係など、背景にある要因は様々なことが考えられますが、そうした要因により次第に心のエネルギーを減らしてしまい、登校したくても登校できない状態に陥るのは、中学生の不登校の一つの代表的な状態像です。

一方、学校に通うことに意味を見出せなくなり、無気力になって動かなくなってしまう場合もあります。要因としては、上記と同じようにストレスを受けて心のエネルギーを減らしてきた経緯は同様の状況があるものの、自分が潰れてしまわないように問題を切り離して考えないようにしようとしている姿が見受けられます。これは、そうすることによって心の安定を保とうとする防衛的な行動であるため、本人の抱えている事情や背景に理解していくことが重要です。

中学1年生の始めの頃から不登校が始まった場合、心のエネルギーを減らしてきた要因が、小学生の頃にある可能性があります。中学生の成長段階に追いつくことができていないことや、心理的な準備ができていないことについては、目をそらさずに、しかし焦ったり批判的になったりせずに、子どもの成長段階に合わせて一歩ずつ階段を登れるように援助していく心構えが大切になります。

親の対応と身につけさせたいスキル

人間関係がうまくいかなくなったときや、その中で傷つくような体験をしたときに、一時的にそこから撤退し、身を守るということは必要なことです。

しかし、自分を理解し受け入れてくれる人もいるという経験や、傷つかないようにうまく人とかかわる方法も人間関係の中でしか学ぶことができないということは忘れないようにしなくてはなりません。人間関係自体を避け、遠ざかるばかりになると必要な経験も逃してしまう恐れがあります。必要なのは、理解してくれ受け入れてくれる人間関係をやり直していくことなのです。

子どもが他人とどのようにかかわるかということの見本(モデル)にするのは、やはり一番身近な存在である親(母親)です。親が受け入れてくれる話題やコミュニケーションの取り方は、他の人にも同じように受け入れられるだろうと思い、同じように振る舞います。他人も同じように受け入れることがわかると、今度はその人が受け入れてくれるコミュニケーションの取り方をさらに別の人に通用するか確認をしていきます。そのようにして受け入れられるときもそうでないときも経験し、モデルとなる対象を増やし、人間関係の範囲を広げていきます。

親が子どもの理解者となって受容的なコミュニケーションが取れるようになったら、次はお兄さん・お姉さん的な第三者との関係を加えていくと、親とは違った関係性から様々なことを学んでいきます。

親や信頼できる他人との受容的なコミュニケーションの中で、人間関係に自信が持てるようになり、少しずつ「自分はこう考えるけど、そうじゃないこともあるんだな」というような自覚が促されます。主観的な考えと客観的な意見との差を理解したり、相手を思いやって譲ったり、譲られたりする関係の中で人間関係のスキルが成長してきます。

思春期に入ると、同級生や同世代にどのように見られているかということが非常に気になるため、ある程度コミュニケーションや自分自身というものに自信が持てないと、こうした関係を避ける傾向があります。同世代とのコミュニケーションについては、年齢の違う理解を示してくれる第三者とのコミュニケーションの次の段階の目標になります。

学習面では、学校の授業数を全てカバーすることは難しいですが、英語や数学など積み重ねが必要な教科については、最も基礎的な知識や、その単元の原理原則を理解することを目標にして、学習の遅れを広げないように気をつけていきます。

生活の面では、外出や運動の機会を取り入れるようにして、体力の低下や身体的な成長にも気にかけてできることをひとつずつ増やしていくようにして、同級生との差を広げないように留意します。

中学生(中学3年生)の不登校

特徴と留意点

不登校の要因や、代表的な状態像は中学1〜2年生と大きく異なりませんが、高校進学という進路上の課題について考えてもいかなければならない時期となり、これから先のことを考えて不安や葛藤が起こりやすいときになります。

しかしながら、親ばかり気持ちが焦って「今年は受験生なんだからこれからのことも考えなさい」と投げかけても、本人に現実感がなく、うまく行動につなげられないこともあるでしょう。無理に刺激しても内に籠ってしまうため、親も協力して一緒に動こうとしている姿勢を示す必要があります。

これまで親が主導して物事を決めてきた場合、本人もそれに乗っていくことが安心だった側面はありますが、子ども自身の問題解決能力が十分に育っていない可能性があります。

そうすると「自分で考えなさい!」と投げかけても、途方にくれるばかりで、進展させることができないことがあります。また、中学受験に苦い思い出がある場合は、高校受験も中学受験と同様の大変な思いをしなければならないと考えて、避けようとすることがあります。

中学3年生からの再登校や学校復帰については、1〜2年生の間に築いた人間関係がない場合、既に出来上がってしまっている人間関係の中に入っていくことは本人の心理的なハードルが高く、在籍校への登校に足が向かないこともあります。そのような場合は、無理に在籍校への登校にこだわらず、通いやすい環境を探して高校生活に向けた準備を始めることが大切です。

親の対応と身につけさせたいスキル

親としては受験の学年を迎えると、学習や進路のことが心配でついつい口を出してしまいがちです。

「勉強はしているの?」「高校はどうするの?」と顔を合わせれば嫌なことを言われるという構図になると、コミュニケーションがなくなり、ますます本題について話ができなくなっていきます。

言葉を交わせば触れられたくないことを言われるようだと子どもも警戒するようになりますが、進路についての話題は子どもにとっても関心事であるはずです。遠回りのようですが、普段のコミュニケーションを回復させることから始めることが、一緒に受験に向けて頑張っていこうとする共同体意識を作るための第一歩になります。

親が代わりに情報を集め決定すれば、子どもにやらせるより格段に早いと思いますが、高校を選ぶというプロセスに本人を参加させていかないと、問題解決能力や「高校生になるのだ」という自覚を育てることは難しくなります。

親と子どもの理解者となる人が上手く協調し、本人の伴走者となる体制を作っていくことが重要です。行動の最初の一歩を起こすまでに時間がかかることはありますが、一緒に高校を見学しにいったり、受験のための塾を選んだりしていく作業の中で、共通の目的意識ができてきます。

注意しなければならないのは、受験ということを意識しすぎて、これまでの受容的な対応から、指導的な対応へと急な方針転換を行わないようにすることです。本人の躓いている課題を理解して、次に取り組む必要があることをひとつひとつ上手に差し出すことができれば、子どもも無理なくその階段を登ることができるようになります。世間一般の考え方に捉われずに、あるがままの子どもの状態を理解し受け入れる必要があります。

受験勉強については、まず中学1〜3年生までの基礎的な内容について総復習を行なっていきます。勉強を進める中で、よく理解できないことや覚えられないことが多少あったとしても、とにかく先の範囲に進むことを目標にし、中学3年間の全範囲を1周することを最優先に取り組みます。

なぜなら、中学1年生の範囲で理解できずに苦しんでいたことが、中学3年生の範囲まで学習したことで難なく理解できるようになるということあるからです。一旦中学3年生までの範囲の概要をつかみ、2周目から定着や発展問題の理解に意識を向けていきます。

高校入試において教科書レベルの基礎的な問題というのは全体の半分以上を占めており、多くの生徒が正解できる問題をきちんと得点できるか否かが結果を左右します。

生活面においては、受験に成功したとしても実際に通うことができる状態まで回復させられるかということがポイントになります。不登校の期間が長くなると、体力も著しく低下している場合があり、同世代の子に対しても苦手意識を深めている場合があります。

高校からは全日制高校に通うことを目標にする場合、中学3年生の12月頃には、週3日程度登校する生活ができているかどうかが一つの目安になります。

まだその段階に達していないとしても、少しずつ外出や登校する頻度を高めて行ったり、同世代の子の集まる場所で新しい人間関係を築く経験を積ませることで、子どもの意識を変えたり、不安感を軽減することにつながります。学校生活の波に乗るところまでが学校復帰のプロセスであるため、進学した高校を続けられるようなサポートを準備しておくことも大切なフォローです。

文・Allight Educational Consulting 代表 平栗 将裕

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