不登校の学年別の対応法 -高校生編-

高校生の不登校(高校1〜2年生)

特徴と留意点

高校生にもなると自我が確立してきて、自分は何が好きで、何に向いているかということについて自覚的になっていき、自分がどのような人間であるかということに自己理解を深めていきます。しかし一方で、将来は何を仕事にするべきか、人生をどのように生きるべきか、というような人生の命題についても思い悩む年齢にもなってきます。

自分の興味の方向性や好き嫌いはわかっていても、それをどのように活かせばよいのかわからない子もいるでしょうし、やるべきことはよくわかるのにやりたいことといわれると全く思いつかないという子も多いでしょう。

自分の進むべき道がはっきりとわからないために立ち止まってしまっている状況があるなら、親や信頼できる第三者が手助けをして、現在気掛かりになっていることについて、とにかく具体的な行動に移させることが重要になります。

進路がはっきりしない一つの原因として、同級生など周囲の人に親近感が湧かない、あるいは積極的に同調したくないという思いを抱いていることがあります。周囲と同じ行動を回避・拒否しようとする一方で、自分の考えに自信が持てるわけではないので、行動をためらって、結果として何もできなくなってしまうことがあります。

また親や教師に大人の価値観を押しつけられてきたことへの不信感があり、大人の考えは受け入れられないけれども、それを否定するだけの考えがあるわけではないという場合にも、堂々巡りの膠着状態に陥ってしまうことがあります。

親が行動するように促しても他人事のように振る舞っているように見えるのは、現実感をもって問題を受け止められていないか、自分で問題を解決してきた経験がないために、どうすればよいかわからず途方に暮れている可能性があります。

むやみに責めても問題解決につながらないことあるので、まず親子の認識や目線を合わせることから始める必要があります。

特に全日制高校での不登校の場合、欠席の上限など、進級の可否に関わるまでの時間的猶予があまりない場合もあるため、言い争っていたり、判断を保留にして置いたり、時間ばかりが過ぎてしまうという状況を作らないようにしなくてはなりません。

親の対応と身につけさせたいスキル

学校への遅刻や欠席が増えてくる前兆〜前駆期の症状が見受けられたときには、焦りや不安から叱咤激励するのではなく、何か力になれることはないか話を聞く姿勢を見せることや、学校の話題とは関係がないことでコミュニケーションする時間を増やすなどの対応をしていきます。責めれば責めるほど心を閉ざして、抱えている問題を察知することができなくなってしまいますが、前兆〜前駆期で誰かに相談することができれば、早めに問題解決に入り、不登校を未然に防ぐことも可能なのです。

進路が決められないことで悩んでいる場合には、答えを出すことに焦らず、親を含め周囲の人が興味を持てることの幅を広げるように、普段から様々な話題でコミュニケーションをとっていくことが大切です。

進路について悩んでいる子の話を聞いてみると、親の仕事や世の中の仕組みについてほとんど知らないということがよくあります。本人の就労観や社会観を育てることにつながるため、親の仕事や社会のことについて話してやることはとても重要になります。

同様に、高校の不登校という問題に直面したときにも、本人が知らないことが多いためにどうしてよいかわからなくなっているということがあります。高校の単位認定の仕組みや、在籍校への学校復帰以外の選択肢(転入学、高卒認定など)についての情報を与え、心や身体の状態とも相談しながら、どの様な選択をしても応援することを約束して一歩一歩取組みを進めていきます。最初から最適な答えを見つけようとすると、行動に移せなくなってしまう恐れがあるため注意が必要です。

高校生の不登校(高校3年生以上)

特徴と留意点

高校1〜2年生と同様に、将来についての焦りや不安を抱いており、進路決定の時期が近づいてきても決断できない状態にあることが多くあります。

高校から先の進路は、大学であっても専門学校であっても、その先の就労ということを意識せざるを得ません。将来はどんな仕事をしてどのように生きていきたいか、自分と向き合って考えていく必要があります。

しかし、どのような選択をするのが正しいのだろうか、と「真実探し」を始めると、ますます自分の心がわからなくなります。例えば、有名大学への進学や大企業への就職など、ある種のブランドを身につけることによって周囲を見返そうという動機が第一になると、自分の心の内から出てくる動機が不在となり、目標を立ててもそのうち頓挫して、目標ばかりを次々に変えることを繰り返してしまう場合があります。

不登校が長期化して学校生活をほとんど経験しないまま高校3年生相当の年齢を迎えてしまうこともあり、進学のための学力や年齢相応の社会性が身についていないことが本人が社会に出ようとするときの壁になってしまうことがあります。

家で過ごす生活が当たり前になって何年もの時間が経過している場合、現在の生活環境を変えるための本人の覚悟も必要になってきます。

いつでも好きなだけネットやゲームができる環境は、本人にとって快適である一方で、これから先のことを考えたり、進路の実現に向けた取組みを行う大切な時間を奪ってしまう側面もあります。

生活を変えるためには本人の意志が必ず必要になるため、一方的な押しつけにならないように配慮しつつ、誘惑をコントロールできないときには親や第三者がコントロールすることを約束し、一緒に伴走するように生活改善に取り組んでいきます。

親の対応と身につけさせたいスキル

年齢が上がっていき、同級生から取り残されていく焦りや恐怖には理解を示しつつも、親も一緒になって不安に駆られてはいけません。もどかしくても、これから進むべき道を探しながら、現実に取組む必要のあることをしっかりと実行していくことが却ってお子さんのオリジナルの進路を発見するための近道になります。

 

目標が見つかった場合には、仮に学力がなかったとしても、要点を絞って対策していけば、本人のやる気次第で短期間で必要な学力を身につけることは難しくありません。

学力よりも大切なのは、本人が納得する進路が見つけられるかどうかです。進路を決めるときには、偏差値や人からどう思われるかということではなく、自分が何のためになら頑張ることができるのか、将来は何をして生きていきたいか、よく自分を見つめながら受験勉強と並行して進路についての情報を調べていく必要があります。

選んだ進路が進学である場合、大学や専門学校でどんなことが学べるか、どんな技術を身につけられるかよく調べることはまず基本になります。さらに、自分自身の考えというのは、人と話すことによって次第に明確になっていくものであるため、対話しながら伴走してくれる第三者のサポートがあると考えを発展させていきやすくなります。

大学や専門学校などは、小・中・高の学校生活とは異なり、興味のある分野の専門性を突き詰めて勉強することができるため、本人にとって馴染みやすい環境である場合が多いです。

目標を得て進学へのモチベーションが上がってくると、学習だけでなく、自分の今の生活や、見た目(容姿・服装)、性格などについてもよりよく変えていきたいという気持ちが高まってくることがあります。

親は本人が変わろうとしていることに協力していく姿勢を示しつつも、なかなかうまく行かない焦りから途中で投げ出してしまわないように、一つずつ目の前のことに取組ませるサポートをしていきます。

同学年になる生徒との年齢の差が気になって受け入れられない場合は、海外留学も一つの選択肢になります。様々な年齢の大学生がいる海外の状況を目の当たりにしたり、新しい価値観を獲得することで、新しい道が発見できることがあります。

次の進路に向かうまでの準備期間は、学力を伸ばすためだけではなく、これから先の人生を新しく歩き出すための、人生観を築いていく大切な時期になります。

 

文・Allight Educational Consulting 代表 平栗 将裕

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