不登校の学年別の対応法-小学生編-

小学生(思春期以前)の不登校

特徴と留意点

小学校低学年の子に一番多いのが「母子分離不安」という状態の見られるタイプです。母親と離れて一人になると心細くなり、その不安感を自分自身ではコントロールできず、不安感や恐怖感に心が包まれると、動けなくなってしまうことがあります。

また別の面では、小学校低学年のうちは、発育や発達の個人差が目立つ場合があり、同級生と体力や知能に1〜2年程度の能力の開きが生まれる場合があります。そのため本人には頑張ろうとする意志があっても、能力的な差により周りの子と同じことができずに苦しんでいることがあります。

さらに、小学校低学年という年齢では、生活習慣を自ら整えることなどの自律性が十分に身についていないため、生活リズムの乱れなど、家庭の環境から受ける影響が大きくなります。幼い子どもであればあるほど、大人と比べて感受性が強く繊細であるため、人間関係や体験から受ける影響が大きいように、ゲームやネットからも強い影響を受けるため注意が必要です。

ゲームやネットの方が勉強や実際の生活よりも刺激があって面白いので、その他のことを勧めても興味を持たせることが難しくなる傾向があります。

親の対応と身につけさせたいスキル

まず心理面の対応としては、子どもの心の中に一人で行動しても「平気」と思えるような安心感・安定感を充足させていくことが目標になります。「母子分離不安」の不安感というのは、何か特定のことがらについて具体的な不安を抱いているのではなく、「何となく寂しい」「何か悪いことが起こりそう」「自分は病気かもしれない」という感覚的な不安が心を支配してしまうような状態です。このとき、「平気だよ」「そんなこと起きないよ」と言葉で説明して解決しようとしても、本人の感覚を拭い去ることはできません。

言葉にするよりも、不安なとき、怖いと感じているとき、母親がそばにいて守ってくれている、慰めてくれているという事実を体験させてあげることに効果があります。

このような対応が上手くいくと比較的早く安定に向かいます。ある程度安定して来たら、同学年の子との差を大きくしないように、年齢相応の体力、学力、人間関係力を身につけるための取り組みも始めていきます。

歩き出す中で、不安が起こってきたら母親がいつでも助けを求められる存在(安全基地)になり、また元気が出てきたら、今度は父親が子どもを勇気づけ行動を促す、という具合に家庭の中で役割分担ができると、どちらかの親が一人で対応するよりも対応しやすくなります。

両親そろって対応する場合でも、気をつけなければならないのは、父親の言動に対して母親が懐疑的だったり、その逆に母親の対応を父親が責めたりするような両親の不一致です。

子どもにとって両親はどちらも信頼すべき存在であるため、「父にとっては良い子」「母にとっては悪い子」というように、自己肯定と同時に罪悪感を抱くような状態は解消してあげる必要があります。これを親に言ったら「褒められる」「叱られる」というような矛盾があると、子どもは積極的に自分の欲求を示すことができなくなってしまいます。

両親が二人揃って対応することができなくとも、母性的な役割を担う保護者と、父性的な役割を担う支援者が協力するなど、役割を分担することで子どもの背中を押してあげやすくなります。

家庭生活は、睡眠、運動、食事に気をつけ、規則正しい生活を心がけて、心身の健康を回復させることを第一の目標にして進めていくと良いでしょう。

学習をはじめとした学校の課題設定については、できない点にばかり着目せず、最低限の基礎的なことがわかっていれば良いという意識を持つことが大切です。能力の成長が追いつかず、その時には難しかったことが、数年経てば簡単にできることがあるように、今できないことにこだわりすぎないように注意します。

大切なのは、学習そのものへの抵抗感や嫌悪感、周りの子への劣等感を抱かせないようにすることです。いまそうした気持ちがあるのであれば、学習や学校の課題設定外の事柄で、自信を身につけさせてあげることを中心に考えていきます。

小学生(思春期以降)の不登校

特徴と留意点

思春期は身体的にも子どもから大人へと変化する時期であり、特に「他人から見て自分はどう見えるか」「自分とは何か」というようなことについて考えるなど、自己意識のあり方に大きな変化があります。例えば、普段は「私」は「私」であるということは当たり前だと感じていますが、他人から見る「私」の客観的な評価は、「私」が思うものとまるで違っていることがあります。そのようなことにショックを受けたり、他人の意見を気にして無理に周囲に合わせようとするなどの言動の変化が起こってきます。

不登校のきっかけについても、グループからの仲間外れ、いじめ、友達の束縛・独占など、人間関係に起因することがらが増えてきます。

同世代の他人の意見には強い影響を受ける一方で、親の言うことには耳を貸さなくなるような反抗的な態度も見せるようになります。「母子分離不安」を抱えたまま思春期に突入すると、親に甘えたい気持ちと、親の意見は排除して自分の意見で進めたいという気持ちとがぶつかり、心に混乱が生じることがあります。親に愛されたいと思う一方で、親が憎いと思うような矛盾を孕んだアンビバレント(愛憎一体)な状態になると、親の優しさにも素直に応じられない場合があります。

学年が上がるにしたがって、学習や運動、人間関係など学校の中で直面することの難易度は次第に上がっていくため、同級生と比べて苦手なことが多くなると、「やりたくない」と言って「できないこと」を避けるようになります。

親の対応と身につけさせたいスキル

できないことをできるようにするためにはどうしたら良いのか、本人の性格や能力、特性に合わせて取組みながら、ひとつひとつできることを増やしていくことが大切です。さらに並行して、自信や積極性を育てるために、好きなことや得意なことをどんどん伸ばすための努力を行っていく必要があります。学習以外のことであっても、周囲で「一番」になるという経験は本人の自信や自己理解を深めます。スポーツでもイラストでも、料理や音楽でも、自分自身にスキルが身につき、やればやるほどスキルが向上するようなことであれば、なんでも構いません。本気で好きになれるものが見つかるまで、挑戦させてあげるようにかかわると良いと思います。

心理的には、気分の変化が大きく、感受性が強く、場合によっては傷つきやすいところがあるため、親の考えや対応に一貫性を持たせるように注意して関わっていくことが大切です。

子どもの話をよく聞いているつもりでも、子どもの言っていたことを忘れてしまたり、話を間違って理解していたりすると、子どもは親に不信感を抱いたり、傷つけられた気持ちになることがあります。自分の気持ちが自分でもわからないようなとき、一番身近なモデルである親(母親)に寄り添って自分の感情を確認しようとしますが、「言って欲しいこと」を言ってもらえなかったり、「言われたくないこと」を言われてしまったりすることに怒っているのです。

「こういう気持ちになるのはおかしいのかな」「みんなはそうじゃないのかな」というような不安が心の中に浮かんだとき、傍にいる親(母親)に確認し、いつも同じ答えが返ってくることに安心し、落ち着いていきます。だからこそ、「こないだと違うことを言っている」「よく話を聞いてくれない」と感じると、ますます不安になったり、怒り出したりするのです。

心の中の安心感というのは、つまり、親がそばにいないときでも自己判断するための精神的な支柱となる感覚であるので、これが欠けているときには大切に育てていく必要があります。

子どもが親(母親)に確認を求めて来た時には、「あなたがそう思うならそうなんじゃないの」「お母さんはそうは思わないわ」など子どもの気持ちを突き放すような対応をしてしまわないように注意する必要があります。

はじめは親の意見を言っても反発するようでも、親への信頼感の深まりにより、親の意見を言っても受け入れるように変わっていきます。親は、正しい考え方を教え込むように言うのではなく、「私はこう思うけど、どう思う?」と親の考えをきちんと伝えた上で、子どもの考える余地を残す言い方をしていくことが大切です。

学校の人間関係について抵抗感や恐怖感を抱いている場合は、親のかかわりに加えて、遊びや友達関係、学校についての話題など、親に話すよりも話しやすい第三者(お兄さん・お姉さん的な存在)との交流を取り入れると進展しやすくなります。親以外の第三者の前で自由に振る舞う経験を積ませると、他人とのかかわり方や距離感の作り方が次第にわかってきます。理解者になってくれる第三者との交流に慣れてきたら、次の段階として、同級生や学年の近い同世代の子たちの輪の中に入ることを目標にして、さらに人間関係のスキルを高めていきます。

文・Allight Educational Consulting 代表 平栗 将裕

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