1.子どもの興味に理解を示す

インターネットを使ってどんなことをしているのか、何というゲームをしているのか、ということについて親も興味を持ってみることが大切です。何をしているかチェックするという意味ではなく、なぜそんなに熱中しているのかを理解しようとすることがこの問題を解決するための第一歩となります。

いわゆる「ネット依存」や「スマホ」依存というのは、厳密には「依存症」とは違う場合があるとは思いますが、やめたくてもやめられない、やるべきことを犠牲にしてもやってしまうなど、少なからず精神的な依存が生じている状態にあると思います。

自分の意志では上手くコントロールできないのが依存ですから、今日からインターネットをコントロールしようと思っても上手くいきません。抜け出すためにはやめようと思った気持ちをサポートしてくれる存在が必要になるため、親が協力できる関係性を作っておくことが大切です。

そのためには、ネットやゲームをしているというだけで「くだらないこと」「時間の無駄」と切り捨てずに、何がそんなに子どもの心を惹きつけるのか、バイアスを捨てて子どもが興味を持っていることを理解しようとすることが大切です。

最近は親が子どもと同じゲームをプレイしていることも珍しくありません。子どもがやっていることを頭ごなしに否定すると、子どもは自分のしていることを隠し、親も実態がわからなくなり、インターネットの使い方を一緒に考えていく糸口を失ってしまいます。

子どものやっていることを親も自ら体験してみたり、子どもから教えてもらえる関係性でいることが大事です。

2.子どもとの会話から始める

もし子どもとの会話が少なくなっている、子どもが自分の話をしなくなってきているという状況があるなら、毎日のあいさつから始めてみるのが良いかもしれません。

親から「おはよう」「おやすみ」と声をかけても、子どもはうなずくだけで返事をしないことがあるかもしれません。しかしこの状態を放置すると、どんどん子どもの反応はなくなっていってしまいます。

家族の日常の中で交わす一番短い会話があいさつです。

「いただきます」「ごちそうさま」「いってらっしゃい」「いってきます」「ありがとう」「ごめんなさい」

こんな当たり前のやりとりでも、きちんとあいさつが交わせるようになるとコミュニケーションが戻ってくるようになります。

 

子どもが親から遠ざかろうとするのは、嫌なことを言われたくない、痛いところを突かれたくないと思っているからです。子どもと話をすることが学校や勉強の話ばかりになると、用件のやり取りだけで、情緒的な交流がなくなってしまい、相談をしたり助けを求めるという関係性でなくなっていきます。

子どももしがらみのないことでならコミュニケーションを取りたいと思っているし、自分のことを思って言ってくれているアドバイスなのだとわかれば真剣に聞こうとします。

インターネットの使い方の問題を解決する、学校や進路について話し合うという目の前の課題に取組まなくてはならないという焦りもあると思いますが、家族と普通の会話ができるようになることが、遠回りのようで近道になります。

3.家庭の共同体意識をつくる

学校に行っていないことに罪悪感を持っている子は少なくありません。家族に対して申し訳ないことをしていると自分を責めている子も、逆に学校に行く生活は自分の生活ではないと開き直って罪悪感から逃れようとする子もいます。しかし考えてみれば、学校と家庭とは本来同じルールで運営されるべきではなく、学校には学校のルール、家庭には家庭のルールがあります。

きょうだいがいる場合「なぜお兄ちゃんは学校に行ってないのに、僕は行かないといけないの?」と下の子に聞かれて困るということがあるかもしれません。しかし、学校に行っているから偉い、行っていないからダメというわけではありません。

学校に行っていなくとも、特別扱いしたり刺激しないようにするより、家庭内での役割ややるべきことをきちんと伝えて、家族が一緒に行うこと(外出、レジャー、手伝い)に参加させていくことが大切です。

そのことが本人の家族の中での立場を守ることにも繋がり、家族が助け合って生活しているという共同体意識をつくることにつながります。このような家族の関係性は、子どもが新しいことにチャレンジするときに背中を押したり、傷ついて帰ってきたときに精神的な居場所となるため、学校復帰後の子どもをサポートすることにもつながる大変重要なものです。

4.他者とのかかわりをつくる

不登校が始まってしばらくは母親としか話ができない子が多ですが、上手く対応していけば、そこに父親が加わったり、家族以外の第三者が加わったり、コミュニケーションが取れる人が次第に増えていきます。

一番コミュニケーションが難しいのは同級生ですが、教室の中に入って同級生と普通にコミュニケーションが取れるようになるまでに段階を踏んで、少しずつかかわれる人の数を増やしていく必要があります。

他人とかかわると傷つくことが多いから、他人との交流を避けがちになります。そのような時間が長くなればなるほど、どんどん気持ちや感覚が繊細になり、かかわれる他人が減っていくことがあります。

他人との関係の中で傷つかないようになるためには、傷つかない方法や距離感を他人の中に入って見つけるしかありません。自分の独自性や感覚を大切に守っていくためには、逆説的ですが、他人とかかわって自分自身の表現の仕方を見つけるしかないのです。

インターネットやゲームについて、共通の趣味を持っている人もたくさんいるはずです。同じ趣味を持つ子たちとのリアルでの交流生まれてから以前ほどインターネットにのめり込まなくなったということもあります。

いま子どもがどれだけの他人とかかわることができて、どうすればその繋がりをもっと増やすことができるかということはいつも気にかけておきたい視点です。

5.二番目に好きなことを見つける

インターネットに依存的になってしまった状態から抜け出すための最も効果的な方法は、インターネット以外の趣味、いわば「二番目に好きなこと」を見つけることです。

私たちの生徒に聞いたアンケートでも「インターネットから抜け出すきっかけになったこと」について「新しい趣味や習い事を始めた」という回答が最多でした。

現状インターネットやゲームが一番好きならそれでも構いません。しかし、少し視野を広げるためにも新しいことを経験する、新しい価値観を知るということはとても大切です。最近ではYouTubeであらゆることを学ぶことができ、独学でもかなりのことが習得できます。

面白そうなことが見つかったら、実際に取組むことが必要です。勉強以外のことでも、興味を持って始めたことのレベルが上がっていくことは嬉しいことだし、自信につながります。そしてまた、趣味とはいえ目の前の課題を分析しクリアしていくという上達のための努力というものは、どんなことにも共通しています。どんなことでも一生懸命やれば、必ず学習にも生きてくるので、立ち止まらずに行動を起こしていくことが何より大切です。

「1.インターネットにのめり込んで勉強に集中できなかったり、睡眠不足になったりしたことがある」を選んだ方に質問です。インターネットにのめり込むきっかけになったことについて、以下からあてはまるもの全て選んでください。

6.実行・見守り・達成の経験を通して心を育てる

何かやろうと決めても続けるということが一番難しい問題です。よくあるのは、子ども本人がやると言っているので任せていたらいつの間にかやらなくなってしまった、あるいは逆に親主導で進めていたら子どもがついてこなくなってしまったということです。

本人任せの放任や、親主導の過干渉、どちらか両極端の対応では、習慣化するまで継続させることは難しくなります。

子どもに「頑張ってみよう」という意志があるなら、親や私たち支援者はそういう前向きな気持ちを持ち続けられるように子どもをサポートしていかなければなりません。諦めそうになっているなら、もう一度向き合えるようにモチベーションを上げるようにかかわることも必要です。

船は行きたい方向に決して直進しません。右のオールを漕げば、船体は左前方に進みます。次に左を漕げば右前方へと方向を修正します。しかし右を漕いだらすぐに左を漕ぐことで大体真っ直ぐに進んでいるだけです。

習慣を作ることについても同じことが言えて、子どもが頑張ろうと右のオールを漕いでいるときには、親や支援者は見守り、気力が落ちたときには左のオールを入れてあげる必要があります。

変わりたいと思っていても、以前の悪い習慣や誘惑が足を引っ張り、いつも途中で終わってしまうということを悩んでいる子の相談も多く受けますが、変化をしようとしているときには、必ず変化を妨げるものが現れるものです。

難しいということは承知しながらも、まずは実行に移し、見守り、そして達成するという経験ができるように子どもをサポートすることが必要です。

7.インターネットの使い方について一緒に考える・決める

インターネットにのめり込む生活を変えていくためには、ルール作りが必要ですが、形だけのルールではなく、実効性のあるルールにどんどんアップデートしていくということが大事なポイントです。

一度ルールを決めても決してその通りに実行することはできません。必ずルールを破る時がきます。しかし、そこでルールが守れないならルールを運用すること自体を止めてしまったら本末転倒です。ルールを破ったときにこそ、どういう条件にすれば守れそうか、どうすれば自己コントロールする力を身につけられるか、ということを念頭に置いて子どもと話し合いながらルールを再設定します。

例えば、「朝起きられなくなるからスマホは23:00まで」と一方的に親がルールを決めたとしてもうまくいかないかもしれませんが、○時までスマホを使っていたら、次の日起きる時間は○時になってしまうという生活のパターンについてきちんと振り返れるようになると、子ども本人に問題意識が芽生え、「朝起きるから0:00までにして欲しい」など具体的な条件について話し合えるようになってきます。

押しつけたり、監視したりしようとすると、親の目から逃れようとしますが、一緒に生活を改善する目的で一致すれば生活の改善に取り組むことができるようになります。

インターネットの使用時間についてのルール作りは厳密になりすぎず、むしろゲーム感覚でルールの運用を親子で楽しんでいくようにすると長続きします。

文・Allight Educational Consulting 代表 平栗 将裕

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