不登校の4つの時期に応じたかかわり

Allight Educational Consulting 代表 平栗 将裕

『不登校の解決のための7つのポイント』でも触れている「不登校の4つの時期」という考え方について、詳細に解説していきます。

時期に応じたかかわりが必要な理由

不登校が始まってから時間の経過とともに、心身の状態は一定ではなく、必ず変化が起こります。不登校の経験は本人にとっても家族にとっても初めてのことあるが故に、戸惑いや焦り、行き先が見えない不安に襲われることがあります。

親がその不安に支配されて、闇雲に動き回ると、子どもを追い詰めてしまったり、逆に、本当は手助けが必要な時に諦めて子どもの自主的な動きを待ってしまったりと、適切なかかわりができないことがあります。あるいは、子どもが立ち上がろうとしている時に、無理をさせないようにして、本人の意志を挫いてしまうことがあるかもしれません。

励まして行動させた方が良いのか、休ませた方が良いのか、その判断が正しいのか間違いなのかではなく、時期によってその判断は変わってくると言えます。

子どもなにを求めているか、親は何をしてあげれば良いかということを考える時に、不登校の時期について理解しておくことはとても重要になります。

不登校の4つの時期

状態が良くなる、良いとは言えないながらも安定している、というような状態の変化は、子どもと接する中で感じられると思いますが、不登校の状態の変化は4つの時期に区切ることができます。心の状態が整えば次の時期に進むことができますが、うまく乗り越えられないと、ひとつの時期が長引いたり、以前の時期へと後退することがあります。

不登校の4つの時期は、いま以上の自分へと成長するための変化の期間です。一気に解決したいという焦りは本人にも親にもあると思いますが、心の成長のためにはどの時期も必要なものです。

いまどの時期にいるか、その時期がどんな意味を持っているかがわかっていれば、早期の解決が望めるかもしれません。また見通しがつくことにより、親にも精神的な余裕が生まれれば、じっくり話を聞いてあげることや、どうすれば良いかを子どもに示してあげることができるかもしれません。

以下に時期ごとの基本的な対応をまとめていますので、ご参考にしていただければ幸いです。

前兆前駆期

ストレスや人間関係のトラブルなど、多くの場合単一ではなく複合的な理由により心理的な安定度が低下していき、学校を休み始めるまでの期間を「前兆〜前駆期」と呼びます。

また学校に復帰した後でも、うまく対処できないことが起こり無理をしている状態(過剰適応)が続くと、再び前兆〜前駆期に入ってしまうことがあります。子どもが自分からSOSを出すことは少ないので、この時期に子どもの異変に気がつくことは難しい場合もあります。

前兆前駆期のかかわり

様子がおかしいなと思ったときに、子どもを心配するようなことを言っても本人は「大丈夫」と言って親に助けを求めないことがあります。必要なのは、子どもとの何気ない会話を持ちつつ、「いつも味方でいるからね」「困ったことがあったら必ず力になるからね」と子どもからSOSが出るタイミングを伺うことが大切です。

この時期は、本人も頑張りたい、頑張らなければ、という気持ちが強い一方で、うまく問題に対処できていないことが多いです。学校や勉強のことが疎かになっている様子があったとしても、そのことだけを指摘するのではなく、一緒に解決方法を考えようとしている姿勢で相談に乗ることが大切です。

学校に復帰後、再び大きな課題に直面することがあったとしても、自分の手に負えなくなる前に、友達や信頼できる大人に相談することにより危機を乗り越えることは十分に可能であるため、事前に助けを求める大切さを教えていくことも必要です。

進行期

体調が思わしくなかったり、気分が落ち込んだりして、登校できそうなのに登校できないという状態がおこります。そこに親や学校からの登校刺激が重なると孤立を深めていきます。ますます追い詰められると、昼夜逆転や自室にひきこもりがちの生活が始まり、親子のコミュニケーションがなくなります。親と子どもが不登校を受け入れることにより、一旦の落ち着きを見せるようになるまでの期間を「進行期」と呼びます。

進行期のかかわり

子どもがいう学校に行けない理由について、不平や不満と捉えて否定せずに、受け入れる姿勢を示すことが大切です。子ども自身もなぜ学校に行くことができないのか自分の気持ちが整理されておらず、説明することは難しいのです。

「どうしたら学校に行けるようになるか」という議論は一旦傍に置いて、子どもが今親に伝えたいことは何であるか、親にどんな言葉をかけて欲しいと思っているかを探り、それを代弁してあげることが一番良い対応です。言って欲しいと思っている言葉が言えた時には子どもは心を開きますが、とんちんかんなことを言ってしまった場合は、傷つける結果になってしまいます。

子どもの気持ちを理解せずに登校刺激をし続けると、神経症や摂食障害、家庭内暴力などの問題を引き起こす恐れがあるため、特に受容的なかかわりが必要な時期になります。

混乱期

家の中で好きなことをして過ごすことができるようになり、周囲から見るとあまり変化のない生活が続いているように感じられますが、子どもの心の中では揺れ動きがあり、葛藤が生じてくる時です。

不登校になって、今まで自分を支えてきた価値観や精神的支柱が崩れ、今の自分の存在を肯定するための新しい価値観や同一視する対象を探し始めます。かつて自分を苦しめた価値観は否定したいが、その代わりにどうすれば良いかわからず、心の中が混乱している時期を「混乱期」と呼びます。

混乱期のかかわり

親の対応が登校刺激から受容的な対応に変化すると、子どもは心理的には安定してきます。しかし一方で、この安定化は膠着状態につながりやすいため、ここから変化を作り出していくためには、子どもの混乱する気持ちを受け止めながら、今後の学校復帰(社会復帰)に向けて少しずつ行動を起こしていく必要があります。

家族以外の第三者のかかわりも取り入れていくことはとても有効です。子どもに指示的になることは避け、今悩んでいることや将来のことについて対話を続けていくことが必要です。将来のことや学習の遅れについて正面から向き合うことも恐いし、一方で放って置くことも不安であるというアンビバレント(両面価値的)な心理があるので、一進一退の状況が続くことがありますが、根気強く行動につなげるためのサポートをしていくことが必要です。

回復期

心理状態が回復に向かい、徐々にエネルギーが溜り出し、一人での外出が自由になってきたり、学習など今取り組んでいることがより捗るようになったり、前向きな変化が加速してくるこうした時期を「回復期」と呼びます。

否定的な自分から抜け出して、肯定的な自分に変化しようとする心の動きが強くなる時なので、その気持ちをうまく実現させてあげると、自信に繋がり、より困難なことにチャレンジできるようになります。反面、思ったようには進まないことに焦る気持ちや、すぐにできるようにはならないから投げ出してしまいたくなる気持ちになることがあります。

回復期のかかわり

回復期をうまく進んでいくポイントは、自分の体力や精神的なキャパシティの限界を確かめながら、徐々に負荷をかけていき、ストレスへの対処能力を高めていくことです。今は理想の自分の姿に変化するプロセスの途中にいることを思い出しながら、一歩一歩進んでいくことが大切です。

逆に、行動を起こすために心身の準備ができていたとしても、ストレスの悪い面ばかりをみて、ストレスを回避しようとしていると、ストレスに対して過敏な状態になり、わずかなストレスでも強い負担を感じるようになってしまいます。

休んでいても疲れが取れない、気持ちが癒えないという状況が続いている場合、生活習慣に問題があることがあります。例えば、夜中に食事を取り、夕方に起きて、全く運動もしない生活なら、気力が湧いてこなくとも無理はありません。こうした場合、少し発想を変えて、行動に変化を起こすことから気持ちを変えていくことも取り入れていった方が良いでしょう。

ストレスには、刺激がより心身に活力を引き起こすというポジティブな側面と、心身に負荷をかけダメージを与えるというネガティブな側面と二つの側面があります。その両方の側面を理解して、ストレスを避けるのではなく、うまくストレスと付き合う方法が見つかると、登校が安定してきます。